非認知能力を高める方法|非認知能力の高める具体的な方法

幼児教育界の中で注目を集めている非認知能力の高め方についてポイントは①実行機能 ②大人の理解です。非認知能力は子どもたちが、将来の幸せや社会への貢献の役割を担うために重要な力だといわれています。ここで注目すべきは、非認知能力個人の気質や性格ではなく、一つのスキルとして捉えられるようになっていること。そして、そのスキルを就学前の幼児期に高めておくことが重要であるということです。日本社会や世界各国でも非認知能力スキルを上げる教育方法や評価方法が研究されつつあります。今回は非認知能力のスキルの高め方について具体的に書いていきたいと思います。

①実行機能

実行機能は非認知能力全体を育てることに大きく影響し、幼児期に大きく成長することもわかっており、現在では、実行機能をどのように伸ばし、どのように評価するのか様々研究されています。非認知能力は専門用語でいうと社会的情緒スキル、実行機能が含まれます。実行機能とは前頭前野に位置し、新しい行動目標へ促したり、慣習的ではない状況に対して柔軟に対応できるような重要な役割を担います。特に日本の幼児教育では特に“粘り強さ”や“挑戦する気持ち”などは個人の気質や性格と捉えがちで、OECD(2015)で非認知能力が発達可能な「スキル」であり教育の可能性が示されていました。10歳ころまでの実行機能のスキルは32歳になったときの健康状態や薬物依存の程度,年収や社会経済的地位,さらには犯罪の程度まで予測することがわかっています。※1。また実行機能をはじめ、社会情緒的スキルなどの他人の気持ちを推し量ったり、共感したりする心の力は、年少~年長にかけて向上し、実行機能の影響を強くうけることもわかっています。

なぜなら、他人の気持ちを推察するためには、自他の区別ができるような認知的柔軟性が必要で、注意を自分から他人へ切り替えることも必要だからです。このように、実行機能は非認知能力全体へ大きく影響しているため、
実行機能を通して非認知能力を客観的に測定できるようにすることが今後の大きな課題になりそうです。

※1「実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援」森口佑介 ( 2015 )

②大人の理解

非認知能力を高めるためには、実行機能だけでなく、基本的に子ども自身の遊びや、信頼できる大人との関係が何よりも大切です。その土台となるものには、大人の姿勢や理解が欠かせないということをお話したいと思います。なぜなら、子ども達の能力の発達段階では大人のサポートや介入、気づきが、重要な学びの1つになり、非認知能力全体が上がるのです。具体的には1)大人の計画性・活動環境構成 2)大人の対応力です。

1)大人の計画生・活動環境構成

子どもたちは日々の活動や質の高い遊びの中で非認知能力を育みます。特に、皆で作り上げていく活動・行事・運動に至っては長く時間をかけて行うものも多く、子どものあらゆる面の能力を育めるともいえます。「繰り返し」・「自分で」・「挑戦」することが大事で、例えば、運動会、笛の練習や自由創作場面などです。目標をきめ、自分で何度も何度も試行錯誤するゴールへの過程を環境設定することが大切です。そのためには、子どもが親だけでなく、第三者の大人に安心感をもって心をオープンにできる環境を用意したり、他の子どもたちが楽しく交流できる機会をもうけることです。「質の高い遊び」の中では、自発的に生活で学んだことを再現できていること、保育者の環境設定の狙いを越えていること、遊びの継続性が確保されていること、遊びをささえる大人との関係が高いことが大事になります。二つに共通することは、大人との環境、主体性のある自由さと試行錯誤する時間になります。そのようなことを全て加味しながら計画し、環境を整えていく大人の役割は大きいといえます。

2)大人の対応力

まず、第一に子どもの声に耳を傾け、適切なフィードバックをすることがあげられます。発達は個人差があり、それに対応できる基礎知識、対応力はもちろんのこと、“子どもの自己肯定感”を育める言葉がけをしたり、時間をかけ、一貫して丁寧に関わることが重要です。子どもがあきらめそうになったときも、「もう一回やってみよう。」「一緒にやってみない?」などの勇気づけの言葉がけによって子どもがその課題を乗り越えようとすることを一緒に見守るのです。第二に、大人自身も子どもに対する共感性を高め、可能性を見出し、日々の子どもの眼差しから何に、興味があるのか熱意をもって行っているのか、一人一人のテーマを引き出し教育環境設定をすることが重要だと思います。さらに非認知能力の理解のあるご家庭を増やし、協力を得、連携を高めることで、一人一人の子どもの理解を深めることがなにより必要になります。

【まとめ】

子どもの好奇心・探求心がでるよう、教師が意図的な計画をたて、自由な時間の中でその子どもたちの活動に寄り添うような特徴のある遊び・環境が必要になることがわかりました。子どもにとって大人の存在は欠かせません。特に未就学の幼児は非認知能力育成に不可欠な実行機能の成長が著しく伸び、過渡期にいるためその段階で理解のある大人が周囲にいる環境を用意できることが大切なのです。


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