学習・社会性の土台となる実行機能
実行機能とは、計画、問題解決、意思決定、柔軟な思考など、日常生活や学習において重要な役割を果たし、特に5.6歳の幼児期においては、これらの実行機能が発達することで、社会的なスキルや学業の成功に貢献するといわれています。そこで、この実行機能の機能性と高め方を考えていきたいと思います。
実行機能とは
幼児期の子どもは成長する過程において、自分の行動を調整し、状況に応じた適切な判断を行う力を獲得していきます。
例えば、5歳児は行動の切り替えが未熟であるのに対し、6歳児は不適切な行動や反応を抑えるなどの抑制制御が向上し、より柔軟に行動を調整できるようになります。
- 抑制(Inhibition): 不適切な行動や反応を抑える力。
- シフティング(Shifting): 注意や行動を異なるタスクや状況に切り替える力。
- ワーキングメモリ(Working Memory): 情報を一時的に保持し、操作する力。
5歳と6歳の実行機能の発達の違い
5歳と6歳の子どもは、実行機能や認知的、社会的な発達の中でいくつかの重要な違いがあります。
子ども達はお友達や家族・大人の人との交流を重ね、経験を通して成長していきます。
実行機能の違い
- 5歳児: 行動の切り替えや抑制機能がまだ未熟で、特定の状況での反応が直感的です。例えば、遊びの中でのルールを守ること、他者の指示に対して難しい場合があります。
- 6歳児: 行動の抑制や切り替えがより成長し、複雑なことに対しても柔軟に対応できるようになります。例えば、遊びのルールを理解し、他のお友達と協力して遊ぶことができるようになります。
社会的スキルの違い
- 5歳児: 社会的な交流が増えていきますが、自己中心的な行動が見られます。お友達の感情や視点を理解する能力はまだ発展途上です。
- 6歳児: お友達の感情や視点を理解し、共感する能力が高まります。友達との関係を築くことがよりスムーズになり、協力的な行動が増えていきます。
認知的発達:
- 5歳児: 基本的な数や文字の理解が始まります。しかし抽象的な思考や論理的な推論はまだ成長途上です。
- 6歳児: 数や文字の理解が深まり、簡単な計算や読み書きが可能になります。また、論理的な思考が発展し、問題解決能力が高まっていきます。
実行機能はどうしたら高められるのか
実行機能を高めるには、自分自身を俯瞰しながら人との交流を深めていくことも必要になります。日常においては、保育園・幼稚園をはじめ習い事でも、お友達・親以外の大人の人と話しふれあい考えていく機会はたくさんあります。具体的には1~5の活動を取り入れるといいといわれています。
- ゲームやパズル:戦略を考えるボードゲームやパズルは、計画力や問題解決能力を鍛えます。
- ルールのある活動:ルールに従って行動することで、抑制力や柔軟性を養います。
- マインドフルネス:注意を集中させる練習は、自己制御を向上させます。
- 日常生活での練習:計画を立てたり、タスクを整理したりすることで、実行機能を日常的に活用します。
- 身体活動:運動は脳の機能を向上させ、実行機能にも良い影響を与えます。
まとめ
上記のように、実行機能は子ども達にとって、将来自立する上でとても大切な能力の1つです。そして、一人では高まる能力ではありません。それぞれの年齢に応じた発達過程の中で高まりますが、積極的に自身と向き合う時間・人と交流しながら社会性・思考力・問題解決能力を高めていきたいですね。レッジョエミリアアプローチクラスでは、一定のルールのもと、自分に集中し表現しながら、試行錯誤して、自分なりの答えをみつけていきます。しかし答えは1つではなく、皆の考えを言葉以外の感覚的なものにも触れながら新たな視点に気づくことができます。創造性は自分の中の思考を柔軟に開放し、多様な価値を受け入れることで高まるものだと思います。